2005年02月20日

木のいのち 木のこころ「人」

法隆寺の棟梁西岡常一氏の弟子小川三夫さんが設立した「鵤工舎」という宮大工の組織に入って修行をする19人の弟子たちへのインタビューをまとめた本。
ランニング仲間のNAOJIさんの勧めで図書館から借りてきた。

木のいのち 木のこころ<人>

社寺を作るのが宮大工という事は頭の中ではわかっていたけれど、それが一体どんなものなのか想像もつかなかった。古来から日本に伝わる技術がどんなものなのか、また職人の世界はどんなものなのか、未知の世界だった。
弟子たち19人は、大工とは縁のない家庭で育った人も多い。まったく知識も経験もない若者たちが、本や机上の学問ではなく、先輩たちの仕事を見て仕事を覚えていき、戸惑いながらも自分の仕事に誇りを持っているのが印象的だった。
厳しい修行というイメージとは違って、各人の個性を大切にして自由に任せる部分も多く、親方は弟子の仕事の最後の責任を持つという姿勢に少し驚きも感じた。
社寺を作るのに、若いもの中心でもこつこつやっていけばやがて形になり、その形になったものを見て成長を遂げていく。
この鵤工舎のやり方がすべての職人世界に共通するものではないと思うけれど、仕事が形になって現れる喜びは長い修行生活では何物にも変えられないものではないだろうか。

鵤工舎では、新しく弟子が入るときに紹介されるのは「名前と受け持つ場所」だけ。それ以外の経歴や職歴は修行には関係ないのだ。あとは翌日から現場に入り、まずは炊事当番から始まり、先輩たちの動きや仕事を見て覚えていく。大切な道具である刃物の研ぎを仕事が終わってから遅くまでやり、そして翌日はまた朝早くから仕事を始める。編成換えになった時は、道具と寝具を持って次の現場に移っていく。現場では当番が作った食事を親方も含めて全員で食べる。まさしく寝食を共にして仕事をする。とてもシンプルだけれど、厳しくそして暖かさも感じる。
その中で弟子たちは悩みながらも、自分の仕事に誇りを持って生きている。
小川氏は、進歩の基礎は「無垢で素直なこと」と言う。忘れかけていることかもしれないと思った。

木のいのち 木のこころは三部作となっていて、「天」は最後の宮大工棟梁「西岡常一」著、「地」は鵤工舎舎主「小川三夫」著。そしてこの「人」は、塩野米松氏がまとめたもの。
「天」「地」も早速文庫本で買ってしまいました。


posted by kenji&kenjiの姫 at 07:51| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んだ本や雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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